車に依存しないまちづくり

ポルトガル:アルマダ

〜車を使わない日キャンペーン〜

都市名
目的
アルマダ(ポルトガル)
人 口 160,000人
面 積 72km2


乗用車の代替となる交通手段を促進すること
代替交通手段について考える機会を人々に与えること
環境に配慮した生活スタイルへの変更を人々に勧めること


期間
事業内容
2000年11月〜2001年9月(その後フォローアップを実施)

この事業は、アルマダ市が中心となり、地域
の交通機関や企業、団体、市民等と共同で行
ったものである。

アルマダは、リスボン市街の南対岸に位置す
る。2,278mの吊り橋がリスボンとアルマダ
をつなぎ、ポルトガル南部からリスボンに至
る幹線道路がここを通り、毎日16万台が橋を
利用している。この他、リスボン市内とはフ
ェリーボートの便がある。

こうした道路事情からアルマダ市民の生活は車に大きく依存しているが、一方騒音や大
気汚染の被害は深刻である。また車利用の増加はCO2排出量増大ももたらす。どのよう
にすれば乗用車を使わず、健康的な環境のもとで快適な生活ができるか、人々の意識を
変える試みの第1歩目として、アルマダ市は、祝日を除く木曜日7:00より19:00ま
で、「車を使わない日キャンペーン」を行うことにした。

行動過程

@ 準備:2000年11月〜2001年2月
曜日の決定:意見聴取や調査の結果に基づき、木曜日に実施することを決定

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アルマダとリスボンをつなぐ吊橋


関係者への協力呼びかけ
「車を使わない日キャンペーン」の趣旨とメリットを、地域の多様な関係者に説明
し、なるべく多くの機関や企業、商店からの協力を取り付ける努力をした。


協力団体からの協力例

・エネルギー機関(エネルギーの効率的利用を進めるために設立されている地域団
体)による、エネルギー消費調査、データ収集等の協力
・バスやフェリー等公共交通機関(全て民営)、タクシー、地元銀行、レストラン
やカフェテリア、自転車販売店等の商店、旅行会社、スポーツや文化施設による、
割引特典の提供
・警察、消防署の協力
パンフレット、ポスター、TVスポット、ステッカー、参加証や参加カード等の用意
A キャンペーンの実行:2001年3月〜9月
1)参加登録
参加希望者は、写真、運転免許証等を持って、市役所あるいは市内の11教区、市
のスポーツ施設等13ヵ所の受付所で登録し、車に貼るステッカーやシール、参加
証等を受け取る。
2)参加証と特典
・ステッカーを車のフロントガラスに貼り、木曜日に参加証を示せば、様々な割引
特典が受けられる。
・参加は隔月で更新され、色違いのシールをステッカーに貼る。
・参加はいつからでも自由、途中でやめてもかまわない。
・緊急の場合は車を使用してもよいので、ステッカーを貼った車が木曜日に走って
いても咎められることはない。
登録用紙

キャンペーンのステッカーやパンフレット

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第1部ヨーロッパ


アルマダ

3)イベント
・キャンペーン開始イベントでは、
市長が登録用紙にサインし、市
長車にステッカーを張った
・子供たちによるイベントが開催
された(写真右)
B 活動評価:2001年9月〜12月
登録用紙に記入されたデータに基
づいて、データベースを作成した。
子供たちによるイベント(写真提供 アルマダ市)

データ整理と評価
公共交通機関利用者数、キャンペーンの社会的影響に関するアンケート調査、エネ
ルギー消費や大気汚染データ等を収集整理した。

C フォローアップ活動:2002年1月〜6月
参加者登録制度とインセンティブをなくした。
学生と自治体職員を対象にして、定期的な会合や討論集会を開催した。
小学校には、車の環境への影響を授業テーマにするよう働きかけた。


フォローアップ活動後の調査によれば、市民のほぼ60%がキャンペーンの存在を知
っていた。


登録者数は約1,000人(人口の0.6%)であった。参加者の年齢層は、
18〜25歳17.4%
26〜35歳23.3%
36〜45歳18.6%
46〜55歳11.6%
56〜65歳11.6%


キャンペーンは、エネルギー消費や大気汚染の面からも過度の車の使用を警告し、改
善対策が必要であることを訴え、人々の移動のあり方について関心を喚起し、議論を
巻きおこした。


アルマダの多くの公共・民間組織の参加により、相互のパートナーシップが強化され、
より深い協力関係ができた。

総予算は50,000米ドル。2001年9月まではアルマダ市が事業コストの60%を負担
した。残りの40%はEUの助成金である。
その後は市の予算でフォローアップを行った。


結果
事業費
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スタッフ
参考情報
市の環境管理部の4名と地域のエネルギー機関の2名が、事業を担当した。
実行段階では、市の他の部署に所属する交通技術エンジニア等2名が協力した。

@ アルマダの交通関連データ
1)1998年の統計によれば、乗用車台数は57,000台、保有率は0.35台/人であ
ったが、アルマダの車の流出・流入台数は14万台/日で、交通量は過去4年間に
毎年6%づつ上昇している。幹線道路や商業地区周辺の人口集中や、幹線道路と
住宅との間に十分な距離をとっていないために、昼夜の騒音被害は非常に大きい。
2)通勤・通学等日常の外出のための移動距離
5km以下32%
5〜10km31%
10〜20km22%
20〜40km14%
3)移動手段
車68%
徒歩12%
バス4%
車とバス等の組合せ4%
4)車の利用日数/週
5日以上48%
3〜5日24%
1〜3日27%
利用しない1%

5)アルマダ市のCO 2排出量の43%は交通部門からである3。交通部門の1人当たり
CO2換算排出量は1.76トン/年で、これはポルトガル平均1.47トン/年を上回る
数値である。
A 「アルマダ市アクセス21のためのモビリティー計画」
(Mobility Plan for the City of Almada, Access21)
2001年に策定したアルマダ市の交通移動計画。歩行者優先地区の整備、駐車場対策、
自転車道の整備、公共交通機関へのモーダルシフト4などにより、乗用車の利用を減
らす新たなルール作りを行い、ソフトな移動形態(徒歩や自転車、公共交通利用等)
に移行する方針を打ち出している。

B 低床型路面電車の敷設
2005年末に、市が長い間ポルトガル政府に要求していた低床型路面電車の路線がア
ルマダ市に敷設されることになった。この公共交通機関開設後に、新たなアイディア
で車利用を削減するキャンペーンを行う予定である。

31997年エネルギー消費調査による。その他のCO2排出量の割合は家庭部門11%、産業部門16%、サービス部門11%、
その他部門8%。
4自家用車や貨物のトラック輸送をバスや鉄道等の大量公共輸送機関に切り替えること(モーダルシフト)により、二酸化炭素
の排出削減を図ること。

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アルマダ

事業担当者の
コメント
詳しい情報を
知りたい方は
重要なポイントは以下の通り。

◇なるべく多くの関係者の参加を呼びかけること、及びそのための時間を十分取る
こと
◇自主的行動が重要なので強制や監視を避けること
◇多くの人々の関心をひきつけるような魅力的なイベントを企画すること
多くの官民の団体が参加する事業においては、各々の役割を明確にしておくことが、
事業の遂行をスムーズにする。
週に1回であっても、車を放棄することに対して人々の間に非常に強い抵抗があり、
これが参加者数に影響した。短期的に意識を変化させることは非常に難しいが、取
り組みは進めるべきである。

"Municipality of Almada" ICLEI Members in Action 2000-2003, ICLEI
イクレイウェブサイトhttp://www.iclei.org よりアクセス可能
http://www.m-almada.pt/emas-lab/index.php
アルマダのウェブサイトで、英語でアルマダの持続可能な政策の情報がわかるページ